10.1インチ液晶の小型液タブ「XP-PEN Artist 10 2nd」レビュー。UMPCにぴったり。ミニマムな作業環境を求める方に

PC周辺機器
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メイン機であるGPD WIN MAX2(10.1インチUMPC)に合う小型液晶タブレットを探していたところ、XP-PENの「Artist 10 2nd」なるものを発見。大型が好まれがちなこのカテゴリに置いて10.1インチ液晶を搭載した本製品に強く惹かれたため、今回購入してみました。開封時のファーストインプレッションから、実際に使ってイラストを描いてみた感想までレビューしていきます。

XP-PEN Artist 10 2ndとは

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引用:XP-PEN

XP-PEN Artist 10 2ndは、ペンタブレット分野でWacomに次ぐシェアを誇るアメリカ企業「XP-PEN社」より販売されている製品。大画面が好まれがちな液タブというカテゴリでありながら「10.1インチ」という圧倒的な小型さを実現しているのが特徴です。競合各社を見ても基本的に12インチ程度までしかラインナップされておらず、Android等のOSを搭載したお絵描きタブレットを除けば、おそらく現状最小クラスと言えるのではないでしょうか。

XP-PEN Artist 10 2ndの大まかな製品仕様は以下の通り。

製品名XP-PEN Artist 10 2nd
液晶10.1型フルラミネーション
(224.49 x 126.7mm)
本体サイズ299 x 173.3 x 12.9mm
ショートカットキー6個
画面解像度1920 x 1080
色域85% NTSC, 120% sRGB
視野角178°
筆圧レベル8192段階
傾き検知あり(60°)
ポートフル機能USB-C×1
USB-C×1
読み取り高さ10mm
ON加重3g

※記載には細心の注意を払っていますが保証はできません。公式HPもご参照ください。

パソコンであればぎりぎりUMPCと言える10.1型という取り回しの良いサイズに抑えつつ、8192段階筆圧検知や60°傾き検知、6つのショートカットキーといった必要な機能はしっかり完備。さらにディスプレイはiPad Air・iPad Proのような視差の少ないフルラミネーションまで採用するという、小型液タブを求めている方にはこれ以上ない魅力的な製品に仕上がっています。持ち運んで出先で作業するようなシーンにもうってつけです。

【参考】筆者のイラストレベルはこんな感じ

私は普段以下のようなイラストを描いています。拙い絵で恐縮ですが、以前はアイコン作成のお仕事等も請け負っておりました。

XP-PEN Artist 10 2nd 商品外観・付属品チェック

Artist 10 2ndの外観です。ペンタブにありがちなイラストレーターさんのイラストが入ったパッケージではなく、シンプルな外箱となっています。

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裏面も必要な情報のみ最小限に。同梱物や製品スペックが簡潔に記されています。

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外箱を開けると本体が即お目見え。写真を見てもらうとわかるかと思いますが、箱の上蓋には本体を守る黒いシートクッションが設けられていました。この部分だけに限らず、XP-PENの製品は梱包が頑丈かつ丁寧だと感じます。

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一度本体を避けたところ。小物の入った箱と、デジタルペンが収納されています。

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小箱の中身は以下の通り。アクセサリー類が充実しているのもXP-PEN製品の良いところです。

  • 替え芯×10本
  • 替え芯抜き
  • クリーニングクロス
  • 2本指グローブ
  • クイックガイド
  • 保証書
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まずはクイックガイドと保証書。

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XP-PENは日本で立ち上げられたブランドということもあり、いずれも日本語にしっかり対応しています。不自然な言い回しも特段見当たりません。

その他アクセサリー類がこちら。

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2本指グローブとクリーニングクロスには「XP-PEN」のロゴ付き。特にクロスの方は型押しが施されたような立体感のあるデザインで、主張も少なくかっこいいです。

替え芯は10本付属のはずが、なぜか私が購入したものは11本入っていました。別売りとしているメーカーも少なくない一方で、標準でこれだけの本数を付けてくれるのは素直にありがたいですね。

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続いてデジタルペン。細かいキズが気になってしまう私のような小心者にとって、しっかりとスリーブに入れて梱包してくださっているのは嬉しい限り。

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ちなみに、ペンの方にも最初から芯が装着されていました。こちらも合わせると全部で12本の替え芯が同梱されていることに。大盤振る舞いです。

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ペンの重さはわずか12グラム。空洞感がありやや頼りない感じはありますが、バランスもよく特段持ちにくい・描きにくいといったことはありません。

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アクセサリーの小箱の下には、液タブ本体をPCに接続する3in1ケーブル。

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PC側にHDMI端子+USB Type-A端子×2、液タブ側にUSB Type-C端子を接続する形になります。

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各ケーブルの長さは、測定したところ以下のようになっていました。

  • HDMI to USB Type-A×2…0.75m
  • HDMI to USB Type-C…1.8m

ちなみに、USB Type-Aの延長用ケーブルが付属しています。こちらの長さは1.5mで、利用することでType-A端子いずれか一つを2.25mまで延長可能です。

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XP-PEN Artist 10 2nd 製品本体チェック

引き続き液晶タブレット本体を見ていきます。各種説明が記載されたペリペリに包まれている状態。

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裏側から、「短辺」→「長辺×2」の順に剥がしていきます。

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本体がお目見え。嬉しいことに最初から保護フィルムも貼り付けられています。おそらく写り込みの少ないアンチグレアタイプ。

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保護フィルムの取り付けというと、基本的に「液晶側の粘着部保護シートを剥がして貼り付け」→「外側の描画部保護シートを剥がして完成」の2STEPかと思います。しかしArtist 10 2ndはすでに液晶側が貼り付けられている状態ですので、Step1の表示は見当たりません。本体左上部にある「Step2」のタブから、描画部の保護シートだけ剥がしてあげましょう。

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Step2のタブから保護シートを剥がした状態。

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タブレット本体の端を見てみるとフィルムの段差が確認できることから、確かに貼り付けができていることが分かります。

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各種ショートカットを割り当てて創作を効率化するファンクションキーは6つ。2つ目と5つ目には小さなでっぱりが設けられており、慣れればキーを見なくても操作できそうです。

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参考までに、裏面には4つ角に滑り止め防止のゴム足が設けられています。

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液タブ単体の重量は696g。公称値の0.71kgよりはやや軽めでした。

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先述したデジタルペン・3in1ケーブル・HDMI延長ケーブルの3つと合わせて測定したところ、860gという結果に。私のGPD WIN MAX2が約1kgですので、すべて持ち運ぶとなるとそれなりの重さになりそうです。

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ショートカットキー側の側面には、写真の上から順に「電源ボタン」「起動状態を示すインジケーター」「輝度調整ボタン」。

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10.1インチ液晶という小型機種ということもあってか、ストラップホールまで設けられています。持ち運び時の安心感が増すことはもちろん、好きなキーホルダーなどを付けて自分好みにできるのも楽しいですね。

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XP-PEN Artist 10 2nd セッティング方法

Artist 10 2ndを使い始めるための手順は大まかに以下2STEP。クイックガイドがついているものの、特段複雑でもないため読まずともセッティングすることができました。

STEP1.専用ドライバのインストール

Artist 10 2ndをPCとそのまま接続するだけでは使うことができず、まず専用ドライバをインストールする必要があります。とはいっても難しいことはなく、以下に記載する公式のドライバダウンロードページから、お使いのOSに合ったインストーラーをダウンロードするだけ。

ドライバダウンロードページ:https://www.xp-pen.jp/download-892.html

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Artist 10 2nd用ドライバ ダウンロードページ

私はWindowsなので、少しスクロールしたところにあるWindows用の一覧からダウンロードしました。いくつかありますが、とりあえず一番上の最新のものを選択しています。

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インストールにも特筆すべき点はなく、案内に沿って進んでいくだけで問題なく完了しました。以下のような専用ソフトウェアが使えるようになっていればOK。私の場合、インストールしたままだとペンでのタッチ位置にズレが生じていたので、まず初めにソフト内「キャリブレーション」から調整を行いました。

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STEP2.ケーブルを用いてPCと接続

ドライバのインストールが完了したら、後はお手持ちのPCと接続していきましょう。私のPC(WIN MAX2)は映像出力に対応したUSB Type-Cポートを搭載しているため、Type-Cケーブル1本での接続も可能。しかし残念ながら手持ちに適したものがなかったため、今回は付属の3in1ケーブルを使用しました。

PC背面にケーブルのHDMI端子側を接続。

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続いてお好きなUSB Type-Aポートに、Type-Aケーブルを接続。

公式サイトによれば「HDMI」と「黒のType-A」の2つが通信用、「赤のType-A」が電源用とのこと。しかし私の環境では「HDMI」+「黒のType-A」の2つのみ接続するだけで利用できています。
Type-A1つだけでも電源供給が間に合っているのかもしれませんが、基本は3端子すべて接続するものとして、あくまで参考としてください。

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最後に、液タブ本体の「3-in-1」と書かれている側のType-Cコネクタに、残りのType-Cケーブルを接続すれば完了です。

「3-in-1」の表記は本体裏面に小さく記載されています。ちなみに、3-in-1ではない方のコネクタにはホコリ防止のカバーが取り付けられているため、これでも判別可能です。

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XP-PEN Artist 10 2ndを左利き用に設定する方法

XP-PEN Artist 10 2ndは初期だと右利き設定となっていることもあり、左利きの私は少々手間取ってしまいました。ここでは、補足として左利き用設定の方法についてもまとめておきます。

公式のユーザーズマニュアルによると、左利きモードの設定は以下の一文だけ。

左利きモード:180°を選択する事で有効になります。

引用:XP-PEN ユーザーズマニュアル(Artist 10 2nd)

ドライバ内「エリアの設定」→「作業エリア」→「回転の設定」から「180°」を選択すると、確かに液タブの表示は左利き用に180°回転します。しかし、それではPCの画面まで連動して回転してしまうのです。

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PCの表示が180°回転している様子

解決策としては、設定アプリから「システム」→「ディスプレイ」と進み、「表示画面を複製する」となっているところを「表示画面を拡張する」に変更してみてください。PCと液タブそれぞれで別の画面が表示されるようになるので、液タブの回転が影響しなくなるはずです。

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もし上記設定のみで上手く表示されないときは、少し下にスクロールしたところの「画面の向き」設定を、「横」→「横(反対向き)」に変更してみてもいいかもしれません。

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同じ設定画面で「メインディスプレイ」を液タブ側にしておいてあげると、クリスタ等でファイルを開こうとした際に「液タブで操作してるのにPC側でウィンドウが立ち上がる!」といった問題が生じなくなります。こちらも必要に応じて設定してみてください。

XP-PEN Artist 10 2ndを使ってみて良かった点

Artist 10 2ndを使ってみて良かったと感じた点は、なんといってもそのサイズ感です。先にも述べましたが、純粋な液晶タブレットの中で本製品より小さいものは存在しないのではないでしょうか。

軽く調べてみたところ、液タブメーカーとして名の知れているWacom(ワコム)とHUION(フイオン)では、10インチクラスはラインナップされていませんでした。各社の最小液タブは以下の通り。

私が普段使用している10.1インチUMPC「GPD WIN MAX2」と並べて配置してみると、このような感じになります。

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10.1インチなのは描画部分なので、全体を見るとWIN MAX2より二回りくらい大きくはなってしまうのですが、やっぱりこの小ささは唯一無二です。デスク周りをなるべくコンパクトに、かつ持ち物をできる限り減らしたい私のような人にはピッタリの製品だと思います。

もちろん描画性能に関しても、約1か月程度クリップスタジオで使ってみましたが特段不満は感じていません。私はこれまで板タブしか使ってきませんでしたが、初めての液タブとしては十二分。追々作例も掲載できればと思っています。

XP-PEN Artist 10 2ndを使ってみてイマイチだった点

Artist 10 2nd、大変満足度の高い製品であることは間違いないものの、「もうちょっとこうだったらな」と思う点がないわけではありません。個人的な意見ですが、主に以下の3点が気になりました。

  • Type-Cケーブル1本で接続するには公式の専用ケーブルがほぼ必須
  • ペンの空洞感が強くやや軽い
  • キックスタンドが欲しい

特に気になっているのは1点目。Type-Cケーブル1本での接続も可能な一方で、コネクタの入り口がやや狭めに設計されており、手持ちのType-Cケーブルでは差し込むことができませんでした。特別差し込み部が大きいものを使っているわけではないにも関わらずです。また購入者レビューの中には「通常のType-C to Cでは接続できなかった」といったものも見受けられ、「別売りの専用ケーブルを買ってね」という意思が強く感じられます。

専用Type-Cケーブルは約3000円と決して安くないため、現状はやむなく3in1ケーブルを利用しています。この点はやや残念な気持ち。

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写真左側がフル機能Type-Cポート

あとは「ペンの中身がもう少し詰まってるといいな」「背面にキックスタンドが内蔵されてると嬉しいな」といった細かな不満はあるものの、これは個人の使い心地の問題なのでデメリットとまでは言えないでしょう。実際、イラスト制作で不便しているわけではありません。

コンパクトな作業環境を実現したい人にピッタリの液タブ「XP-Pen Artist 10 2nd」

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ネット上を見ると「液タブは画面が大きい方が良い」という意見は多いですが、きっと中には「デスクが小さいから省スペースなものがいいな…」「出先にも気軽に持ち出せるものがあったら嬉しいんだけど…」といった考えを持つ方もいることと思います。XP-PEN Artist 10 2ndは、そんなミニマル派にピッタリの製品だと感じました。

「とにかく荷物を増やしたくない・身軽でいたい」の一心で小さいものを好んで使い続ける私としても、今回のお買い物は大満足。欲を言えばベゼルを狭めてさらに小さくなるといいのに…なんてわがままでしょうかね。

XP-Pen Artist 10 2ndは定価2万6980円。しかし2025年2月11日現在、公式ストアでは15%OFFの2万2930円、Amazonでは5000円OFFクーポンにより2万1980円にて購入可能です。公式ストアには「保証が長い」「購入ポイントが付く」等のメリットがあるので、重視するポイントに合わせてお選びいただければと思います。

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